プリヲタ法学部生のブログ

プリキュアについて法学、政治学などの観点からの考察をするブログです。時折プリキュアと関係のないことについても書くかもです。

スター☆トゥインクルプリキュア3話感想&考察


Hatena

行動か分析か

 スターカラーペンの探索をめぐる二人の対立、とりあえずの方針が立ったらひとまず行動するか、それとも分析を全て終え確実な方法が見つかるまで待つか。

直感を信じるひかりとデータを重んじるララの性格の違いがよく現れた対立だったと思います。

 前回もララはデータを相当重んじていたことから(「データは絶対ルン!」)ララの真面目な性格もありますが、サターン星の教育がデータによる実証を重んじるものなのかもしれませんね。

 どちらの方法も合理的なものではありますが、ひかるはいくらでもトライアンドエラーができるのに対しララは地球人に発見されたら一巻の終わりであることを考えればそれぞれが最適な方法をとっていたといえるのではないでしょうか。

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コミュニケーション不足と偏見

 一見、直感に頼り切っていたように見えるひかるの行動も、実は本人なりの考えがあっての行動でした。 一方、ララはララなりの考えがあったはずです。

にもかかわらず、おたがいに自身の行動原理に則った行動に固執し、相手を間違っていると断じ、積極的にコミュニケーションをとろうとしていません。

 最大の問題点はまさにこれに尽きるのです。そしてさらに悪いことにララはひかるに腹を立てるあまり「地球人はよくわからない」と発言してしまいました。

ひかるだけを見て地球人全体を切り捨てる言動は偏見ととられても致しかたないのではないでしょうか。

事実、その後ひかるの怒りは頂点に達して禁断の一言を吐きそうになりました。

コミュニケーション不足から属性についての偏見が生まれ、対立が決定的なものになってしまうということを暗示する見事な脚本だったと思います。

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ドーナツ屋さんの反応から見る普段のひかる

 普通恥ずかしくて自身の趣味(しかもオカルト)をフルオープンにして町の人に接することなんてできないはずです。

 しかし、前回までの遼じいの振る舞いや今回のドーナツ屋さんの言動を考えるとひかるのオカルトオタクぶりは町の人に自然と受け入れられているようです。

なぜ、ひかるはうざがられず、最終的に受け入れられたのでしょうか。行動することを恐れないひかるの性格も大いに影響しているとは思いますが、それだけではないと思います。プリキュアアラモード風に言わせてもらえば、それ以上にひかるの真摯な「スキの気持ち」が町の人の心に通じているからではないでしょうか。

だからこそ、町の人たちはひかるを受け入れ、ひかるの興味のありそうなことを伝えてくれるのだと思います。もっともひかるの行動は危険を伴うものでもありだからこそひかるのおじいさんはひかるに厳しい態度で接しているのではないでしょうか。

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ララはなぜ「大人」にこだわるのか

 前回からララは自身が「大人」であることにこだわってきました。しかし、大人であるにしては、大人特有の落ち着きや余裕が感じられません。むしろ大人であろうとしてから回っているようにも感じられます。

 そもそも本当の大人は「大人」であるとわざわざ主張したりしません。主張せずとも他者から自動的に大人であるとみなされるからです。もっと言えば、自身が大人であると信じて疑わない人は、大人であるとみなされないということを想定できず、当たり前のように大人として振る舞い、自身を大人とみなさない者をこそ「おかしな人物」としてみるでしょう。

 おそらく、ララは慣習上大人とみなされる年齢に達しているとしても、サターン星人の発達上まだ青年期(思春期)から抜けきっていないのでしょう。故に思春期特有の対人恐怖(自分をよく見せなければならないという強迫観念)を抱いており、必死に大人として振る舞おうとしているのではないかと考えられます。

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呼び捨てで呼び合うということ

 プリキュアで呼び捨てで呼び合い始めるということは「ふたりはプリキュア 」の8話以来重要な意味を持ち続けてきました。プリキュアにおいて呼び捨てで呼びあうということは相手の全てを受け入れ仲間として認めるということだからです。

なぎさとほのかの場合は、偶然の事故により双方が互いの弱点を暗に(変身後は公然と)非難しあう関係となったうえで、それでも相手を理解したいという気持ちを分かち合った結果、呼び捨ての関係が成立しました。いわば相手に見せたくなかった本音の部分をぶつけ合うことで真の親友となるプロセスを経たのです。

 一方、本作においてはひかるもララも基本的に本音を隠していませんし、そのことを気にもしていません。では今回は何が呼び捨てで呼びあう契機になったといえるのでしょうか。

 それは名前をめぐる一連のやりとりを見れば明らかでしょう。

「フルネームで呼ばないで、かたっ苦しい!」

「ちゃん付けやめるルン!私は大人ルン!」

「ごめん!私ララちゃんにひどいこと、勝手なことばっかり...。」

「私の方こそごめんルン。ひかる。」

「ララ......ちゃん?」

「ララでいいルン。その方が、効率的ルン。」

「...うん!ララ!」

つまり二人にとって呼び捨てで呼びあう契機は「妥協」。ただ本音をぶつけ合うのではなく、相手の気持ちを考えて引くべきところは引くこと。いわば大人な振る舞いをすること。

 ララがさりげなく「大人だから」という理由を取り下げたことにもこのような二人の変化は現れているのではないでしょうか。

 初代の二人がいわば「大人な振る舞い」をしていたところから「子供じみていても本音をぶつける」関係になったことで仲間になったのに対し、今作では少し大人になることで仲間になったというのはなかなか面白い違いではないかと思います。

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えれなさんについて

 一瞬の登場でまだ詳しいパーソナリティは分かりませんが、ひかるが憧れていること、喧嘩をしていたら仲裁すること、自分の考えを押し付けないこと、花屋を営んでいることから考えてカリスマ性のある大人びた性格なのでしょう。そしておそらく花に対して何らかの特別な思い入れがあるのではないかと推察されます。

 次回の登場が楽しみです。

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テンジョー氏について

カッパード氏が質実剛健型であることを明示させる対照的なキャラクターでしたね。色気と知性を感じさせる敵キャラでした。戦闘面での知性を前面に出したキャラクターはなかなか希少です。天狗の扇陣形は引き込まれました。

今後も注目です。

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まとめ

スタプリにおける「8話」回でした。明確に「8話」をモチーフにしたとわかる回はまほプリ以来ではないでしょうか。しかも初代とは対極の構成の「8話」になっており、見ていてワクワクしました。

あと、青山さんが一人原画をしなくなったのはいいことだと思います。

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