プリキュアアイコンを背負ってるツイッタラーに伝えたいこと
これは一プリキュアファンからプリキュアアイコンを使ってツイッターをしている人に向けて私の個人的な「お気持ち」を伝えるものです。あくまでも「お気持ち」なので誰かを糾弾したり晒上げようという意図はありません。ただ、どうしてもやり切れない感情を抱いたので、今回記事にしようと考えました。
この記事を書くきっかけ
私はプリキュアファンであると同時にロースクールで法律を勉強している学生でもあるので、ツイッターではプリキュア関係のアカウントと法律関係のアカウントを中心にフォローしています。したがって、TLにはプリキュア関係のツイートと法律関係のツイートが入り混じって表示されます。私がこの記事を書くきっかけになったアカウントは、とある司法試験合格者の方が引用RTされたアカウントでした。
そのアカウントの使用者は私が見たところロースクールの学生の方のようでした。当該アカウントのアイコンにはテレビシリーズ本編のワンシーンからを切り取られたキュアコスモの画像が使用されていました。またプロフィール欄には「プリキュアとセックスしたい」という意味の文言が表示されており(実際の文章とは意図的に変えています)、ツイート内容をみると、特定のアカウントとのDMを晒す、卑猥な言動をを内容とする投稿が繰り返されていました。私の感覚では到底子どもに見せられるアカウントではありませんでした。
私はこのようなアカウントを見て、強いショックを受けました。同時に、常日頃からプリキュアのアイコンを使用した一部ツイッターユーザーの言動に思うところがあり、それを吐き出したい気分になりました。そこで今回このような記事を書こうと考えた次第です。
プリキュアアイコンを使用するにあたっての一般論
言うまでもないことですが、アニメキャラクターをアイコン画像に使用するにあたっては、著作権法上の問題を避けて通れません。自作の二次創作画像を使用していてもこの問題は避けて通れず、いわゆる”公式”が出どころの画像を使用する場合はなおさら意識する必要があります。そもそも、権利者の許可なくキャラクターの画像をツイッターに掲載する行為は複製権や翻案権など著作権を侵害する危険のある行為です。権利者がその気になれば、権利を行使し使用の停止や損害賠償、刑事告発などもしうる行為であり、ユーザーがアニメアイコンを使用しても特に咎められることがないのは権利者が黙認しているからに過ぎません。
これは個人的な考えに過ぎませんが、黙認して”いただいてる”ユーザーとしてはアニメアイコンを使用してツイッターを使用する以上、最低限権利者に迷惑をかけない、そのキャラクターが登場するコンテンツのイメージを低下させない運用をする倫理的な義務があると思います。
さて、プリキュアはどのようなコンテンツでしょうか。ご存知の通り、2004年から現在まで15年以上の歴史をほこるアニメコンテンツです。そのメインターゲットは女の子を中心とする子ども達であり、主としてアニメ内に登場する変身アイテム等の販売を通じて利益を得るビジネスモデルのもとに制作されています。このようなビジネスモデルに鑑みると、キャラクターに対する子どものイメージや、おもちゃを買うお金を出す保護者のイメージが損なわれる事態は、収益の悪化に直結する危険があり、公式としては絶対に避けたいことが容易に想像できます。実際、過去には関係者からプリキュアのイメージを棄損するような画像の使用についてファンに注意喚起がされたことがあります。
放送した映像の静止画を描き変えたりコラージュして、インターネットに流すのはやめてほしいです。本当に放送されたものと勘違いして苦情が来たりして困っています。それに考慮して本編制作の際に本来は不要な規制を強いられる場合もあります。あと単純に、気分のいいものではありません。(続く→)
— 大塚隆史 (@takaswy1981) 2012年5月13日
(→続き)インターネットは不特定多数、全年齢の方が見ることができます。作品を楽しんで頂けるのは嬉しいのですが、子供向けのアニメ番組ですのでその点のモラルを何卒よろしくお願いします。監督として微力ですが、来週も楽しいものを放送していきたいと思っています。
— 大塚隆史 (@takaswy1981) 2012年5月13日
また雑誌「なかよし」でプリキュアの漫画を連載されている上北ふたご先生は数多くのプリキュアイラストをツイッターに投稿されていますが、投稿にあたって公式から注意を受けていることを明言されています。
過去絵ばかりで、いやはや面目ない…💦
— 上北ふたご (@kamikitafutago) 2020年8月26日
プリアラ放送年にツイッター始めたこともあり、プリアライラストは けっこうあります❣️
東映アニメーションはじめ関係各位にイラスト投稿許可の問い合わせしたことも懐かしい…。神木Pからの注意事項は「下着が見えてるような絵はNGです」
当然ですよね〜❣️
したがって、プリキュアアイコンを使用するツイッターユーザーには最低限プリキュアのイメージを損なわないアカウント運用をする倫理的責任があると思います。大人向けのツイートをするにしても、公式画像の使用を回避する、未成年のフォローを禁じる旨プロフィール欄に明記する、暴力的・性的な画像など子どもに見せるのが望ましくない画像についてはセンシティブ設定にする、など工夫が求められるでしょう。
なお当該アカウントの方は「性的なことが品位に反するというのは偏見である」旨ツイートされていました。なるほど、傾聴に値する主張だと思います。しかし、性的な事柄が品位に反するかどうかは別として、十分な知識を有さない子どもが安易に性的な情報にアクセスできてしまうと、誤った認識を有してしまい、自己や他者の身体・精神を傷つけ、場合によっては望まない妊娠をしてしまうなど重大な事態を生じさせる恐れがあります。そのような事態につながりかねない情報がプリキュアのアイコンを使用しているアカウントから発せられている様が保護者などの目にとまればプリキュアファン、ひいてはプリキュア自体のイメージの毀損につながる恐れは十分あるといえるのではないでしょうか。
ツイッターアカウントは13才以上でなければ取得できない規定になっていますが、アカウントを取得できなくてもツイートを閲覧することは可能です。また13才以上であってもまだまだ子どもであり、十分配慮すべき年齢であることは変わりありません。プリキュアの画像をアイコンにしてツイッターを使用する方はこのことを十分意識してほしいと願います。
プリキュアを性的欲求の対象にすることへの個人的な感情
ここからは本当に私の個人的な感情に過ぎません。誰かに何かを要求する根拠になりえないただの感情です。
私はプリキュアをとても尊い存在だと考えています。彼らは常人の何百倍もの恐怖と痛みと絶望を味わい、それでも誰かのために立ち上がって戦える真の強さと優しさ美しさを兼ね備えた人々だと考えているからです。
プリキュアは決して幸福な人だけがなるものではありません。むしろ大多数のプリキュアはなんらかのコンプレックスや暗い過去を背負っています。キュアコスモについていえば、彼女は同族であるレインボー星人を自身を除いて全員石化させられ、故郷を元に戻すために人を騙し、ものを盗んできた過去を持っています。それでも、星奈ひかると出会い、初めて本気で誰かを助けたいと思い、プリキュアとして覚醒し、葛藤しながら戦い続けていくなかで、ついには仇敵を許すことさえできた、そんな経歴の持ち主なのです。一般人が同じような境遇にあったとしたら、自死するか憎しみの権化となって人を傷つけるのが関の山で、到底プリキュアとして選ばれるような優しさを持ち続けることは不可能でしょう。
他のプリキュアに関しても、普通の人が発狂してしまうような状況であっても、優しい心を持ち続け、勇気を振り絞って立ち上がり、困ってる人に手を差し伸べられるという点は共通しています。このようなプリキュアは私にとって北極星のごとく決して手は届かないがそこに輝き続ける善性の象徴であり、もはや信仰に近い感情を抱いているのです(※「北極星~」の表現は以下のキュアハルクさんの記事から頂戴しました)
同時にプリキュアは映画「オールスターズメモリーズ」から美墨なぎさの言葉を借りれば「ただの中学生(高校生も含む)」で自分でどうすることもできない時はへこたれてしまう生身の人間なのです。
このような彼女たちを前にした時、私は自分のプリキュアを消費する姿勢を彼らがどう感じるか常に考えてしまいます。
読者というのは本質的に強姦者だけれど、それが読者に与えられた権利であって、決して越権行為ではない。じゃあなぜそれが和姦じゃないのかと言えば、彼らは我々の視線を拒む権利を最初から持っていないからで、せめてもの礼儀としてわたしが行っているのは強姦ですという意識を持ってやっていきたい
— 長谷川さより🥂 (@her_adolescence) 2020年2月24日
やさしい強姦を気取ることにはなんの意味もない、自己満足でしかない、何をやっても所詮は五十歩百歩の強姦に過ぎない、なぜならわたしの視線わたしの言葉そのすべてが最初から最後までそういうものだから、しかしそこに意味を見て取ることもまた決して蔑ろにされるような営みではないと信じたい
— 長谷川さより🥂 (@her_adolescence) 2020年3月21日
彼らに最初から我々の視線を拒む権利がないこと、我々の視線が暴力でしかありえないこと、彼らと我々の関係には常に権力勾配があること……
— 長谷川さより🥂 (@her_adolescence) 2020年3月21日
画面から彼らを見る時、彼らも私たちを見てるとしたら、彼らは私たち視聴者に対して圧倒的な弱者になります。私が彼らの前でどんな醜悪なことをしたとしても、また絵や文章で彼らにどんな醜悪なことをさせたとしても、彼らは黙ってそれを受け入れるしかないのです。
このような世界観を持つ私にとって、プリキュアに対して「セックスをしたい」と口走る大人がいるという事実は耐え難い不快感と絶望感を催させます。もちろんこの不快感や絶望感はどこまでも私だけのもので、その人がプリキュアにそのように接することを止める根拠にはなりえないし、してはいけないものです。しかし、ただただ耐え難いのです。私から見てその光景は、誰よりも尊敬されるべき中高生に対してセクハラを、ひいてはレイプをする成人男性がいるという光景にしか見えないのですから。
私自身も、私にとって最高の尊厳であり同時に生身の中高生である彼らに対して、申し開きができる態度で接しているか、彼らを傷つけないような態様で消費できているか(それもまた自己満足に過ぎないのですが)自信がありません。こんな私から言われたくはないでしょうが、どうかプリキュアのことを彼らに恥じない形で消費してほしいのです。十二分に苦しみを味わっている彼らに対して、私たち視聴者が、ましてや大人が、更に苦しみを味わせるような世界であって欲しくはないのです。あなたから「セックスしたい。」と言われることが、彼らの苦しみにならないか十分考えてほしいのです。
まとまらない文章で個人的な願望を垂れ流してしまいお恥ずかしい限りですが、こういうプリヲタもいるんだということを胸に留めてもらえれば、これに勝る喜びはありません。