プリヲタ法学部生のブログ

プリキュアについて法学、政治学などの観点からの考察をするブログです。時折プリキュアと関係のないことについても書くかもです。

スタプリ10話感想&考察


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ひかるの行動限界点

 ひかるが突っ走っているように見えて、実は周囲の人たちをよく観察し、その人のためにできることを考えられる能力を持っていることはこれまで丁寧に描写されてきました。一方で、ひかるは基本思い立ったらすぐ行動で、人の話を聞かず、立ち止まって考えるということが苦手であることも一貫して描かれてきました。この点は、実行力が高いとも評価できますが、危うさを抱えておりひかるの欠点でもありました。

 そんなひかるの欠点が、スタプリチームの特性とまじわることにより最悪の形で作用してしまった回でした。

 例えば、これが同じように即行動型ののぞみをリーダーとする5チームだったらどうなっていたでしょうか。5の場合は、のぞみが先走るような提案をしたとしても、間違っているのであればりんやかれんからツッコミが入ったことでしょう。その上で、ココやナッツの意見を聞きながら、のぞみの意思をより実現しやすい形に練り直した上で実行に移したように思います。

 また、同じく即行動型のマナをリーダーとするドキドキチームであれば、まずマナ自身の知力・身体能力・精神力が極めて高いことから突っ走っても一人で乗り切ることができ、あとの4人が背中を守る態勢を即座にとることができたのではないでしょうか。

 ひかるも即行動型であることには変わりはありません。しかし、それを一人で最後まで貫き通すだけの能力や覚悟は欠けていたと言わざるを得ません。一方で、チームとしてもひかるの突破力にただ押し切られる形で、特にコミュニケーションもとらず宇宙行を決めてしまいました。このコミュニケーションをとれていない状態はララの準備が整っていないにもかかわらず、ひかるが打ち上げを始めてしまったところにも現れていました。

 例え突破力があったとしても、自身の能力とチームの団結に裏打ちされたものでなければ、いつか限界をむかえます。惰性で、ひかるの実行力に、ひかる自身も他のメンバーも依存してきた限界が露呈してしまったと考えます。

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ララの恐怖

ノットレイダーに全く歯が立たず、変身解除に追い込まれ、ペンまで奪われてしまった状況。

歴戦のプリキュアであっても思考停止してもおかしくない状況の中、ララは冷静に状況を分析していました。

今、最優先すべき行動目標は何か「無事にみんなで帰ることルン」

そのためにすべきことは何か「ノットレイダーの攻撃を防ぐことルン」

具体的にはどうすべきか「一番はノットレイダーを倒すことルン。でも、それは無理ルン。なら、逃げるしかないルン。」

逃げる手段は「宇宙船を呼ぶルン!でもノットレイダーにバレたらだめルン。」

ここまでの思考をノットレイダーがひかるに気をとられている隙にし、機を逃すことに実行に移したのです。

恐るべき精神力と状況分析力というべきでしょう。ララはなぜここまで冷静だったのでしょうか。

二つの理由が考えられます。

まず、宇宙旅行慣れしていること。地球に来るまでの旅路の中で危険な場面に遭遇し、逃げることもあったのでしょう。もともと慎重な性格で分析好きのララのことですから、危機にあたってどのように逃げるかということについて分析や経験を積んでいてもおかしくありません。

そして、ララの仲間達を守りたい気持ちの強さ。異星人である自分をここまで受け入れ、共に戦ってくれ、そして何より楽しい時間を提供してくれた唯一無二の仲間達。

守りたいという気持ちがララに恐怖を忘れさせたのではないでしょうか。いや、むしろララにとっては目の前のノットレイダーよりも仲間を失うことの方がよっぽど怖かったというべきかもしれません。

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ノットレイダーは何を知る

「ぬくぬくとした環境で生きるお前が知ったような口を」

カッパードが言ったこの言葉、カッパードひいてはノットレイダーメンバーが何らかの苦しみを抱えていることを思わせる言葉です。

ノットレイダーという組織がどのように生まれ、どのように彼らはそのメンバーになり、なぜあのような思想を形成し、宇宙征服を目指すのか。なぜ、ひかるの「全ての星に価値がある」という言葉を許せなかったのか。

 ひかるや、プリキュア達、プルンス、フワがノットレイダーの考えについて思いをはせることはあったのでしょうか。

大切な友人を守ること、宇宙平和を守ること、プリキュアとしての生活を全力で楽しむこと精一杯でそんな余裕はなかったのではないでしょうか。

かつて、キュアブラックとキュアホワイトはドツクゾーンと対話することはほとんどなく、最後までその考えに一抹の理解を示すことはありませんでした(キリヤを説得する際も、ドツクゾーンの価値観に対して譲歩を示すことはありませんでした)。

その後、あるプリキュアは敵との対話のなかで、彼らに新しい希望を示し、あるプリキュアは彼らによりそい、その冷え切った心を温めました。

今後、ノットレイダーの全容が明らかになっていくなかで、ひかるは、プリキュア達は、剣をとるのか。それとも、ハグすることを選ぶのか。

プリキュアが最後に選び取る「価値」は何なのか。それを探る旅路は、カッパードとひかるの今回の対話から始まったといえるのでしょう。

来年の1月、ひかるはカッパードとのこの「ファーストインパクト」をどのように振り返ることになるのでしょうか。

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