スター☆トゥインクルプリキュア5話感想&考察
まどかの父
プリキュア史上初の公務員の親にして、内閣府の局長級という高級官僚のお父さんです。上に立つものとしての責任感とプライドを併せ持ったお父様だと考えられます。とはいえ、堅物の官僚といった風ではなくまどかに対する教えや公立学校に通わせた意図などをみてもむしろ開明的で、いい上司になりそうなお方であると感じました。
父親としては家長というある意味で古臭い考え方を持った父親ではありますが、厳しいながらも決して家族のことを疎かにするタイプの人ではないのでしょう(そうでなければまどかがあそこまで父親を敬愛することはない)。ただ、「かぐや家は人の上に立つのが使命」「普通の人々」「たかだか学校ごと」「私の言う通りにすれば間違いない」という発言からは、自分の置かれた状況からしか物事を認識できていない迂闊さのようなものも感じられます。
父として、決して娘を愛していないわけではないけれど、知らず知らずのうちに「型」にはめて接してしまうといった感じでしょうか。やや、えみる祖父に似た気質(あそこまで露骨で独善的ではないにせよ)をお持ちなのかなとも思いました。
お嬢様の系譜を持つプリキュアは水無月かれん以来数多いましたが、両親が明確に「お前は○○でなければならない」と娘に接するのは初めてではないでしょうか(自身で両親の跡を継ぎたいと考えたり、執事が忖度してそのような接し方をした例はありますが)。
「あっ急に出てきて説明言うキャラだ」
「誰ルン、この説明的なセリフは。」
まほプリのかな(「アレハマホーツカイヨ」)と姫プリの蘭子パイセン(根性ドーナッツくん)を合わせたようなキャラクターですネ。はっ、まさか追加戦士・・・ないな。
まどかの観察眼
人間、意外と他者に対しては無関心なものです。ゆえに、明らかにおかしい事態が発生していても案外気がつかなかったり、気が付いていても勝手に納得できる仮説を立てて納得してしまったりします。初代のふたりなどは妖精たちが自重しなかったこともあって相当危ない橋を渡っていましたが、それでも最後までプリキュアの秘密に気がつくことはありませんでした。
妖精を発見するという形でプリキュアのことを知ったのは、恐らくまどかが初めてではないでしょうか。「生徒会長たるもの全てを把握しておかなければならない」という本人の発言通り他者をよく見ていることがうかがえます。ただ、人の心の機微を的確にとらえるキュアブロッサムやキュアマカロンのような天性のカンの鋭さはあまりないように感じられます。むしろ、そのような力はえれなの方が強いのではないでしょうか。
フワはなぜ自ら姿を見せたのか
フワはたしかに無邪気な妖精ではありますが、怖いものは怖いと恐れますし、ぬいぐるみのふりもちゃんとできる子です。それがなぜほぼ初対面に近く、あまつさえ自分を大人の前に突出そうとしているまどかの前に、はっきりとした形で姿を現し、抱き着いたのでしょうか。
おそらくフワはまどかの中にある根源的な優しさ・温かさのようなものを感じ取ったのではないでしょうか。同時にまどかの中にある自覚すらないような微かな迷いのようなものも感じ取ったのでしょう。
プリキュアは変身者の本音(自己実現動機)の象徴であり、逃避や抑圧などではない純粋な心の力こそがプリキュアの力の源であると考えます。フワがプリキュアを選ぶ・惹かれる気質を持っているとすれば、まどかが無意識に抑圧してきた本音のようなものに惹かれたからこそ、まどかのもとに向かったのではないでしょうか。まどかと再会したときおにぎりで元気づけようとしていたのもフワがまどかの本当の気持ちを感じ取っていたのもそのようなフワの認知の表れでしょう。
ひかるは本音に問いかける
プリキュアにおけるピンクの共通の特徴として、人の(特に仲間たちの)本音に敏感という点があります。その特徴と、目的のためなら普通の人が経るステップを飛ばすところがあるひかりの気質を合わせるとどうなるのでしょうか。
ひかるは、まどかの態度と言動をみて、ララとフワとプルンスを守らなければならないと理解しました。ここまでは誰でもできる事です。ひかるが常人とは異なるのは、まどか自身の盲点を瞬間的に感じ取り、即座に指摘した点です。
「お父さんのことは分かったけど、先輩はどう思ってるんですか。」
まさに一撃必殺というべき質問です。この質問を投げかけまどかに自問自答させた時点でひかるの「勝ち」といえるのではないでしょうか。
まどかの葛藤と選択、そしてプリキュアに
「かぐや家に秘密はない」「宇宙人に容赦するな」という教え・父親の職務と、「人の心を知れ」という二つの教え、ダブルバインドに陥ったまどかはどうするのか。
「守らないと!この子を守らないと!!」
「フワを守る!私はそう決めたんです!」
まどかは父親の望むであろうことよりも、自分が心で感じ取ったこと、自分がこうしたいと思うことを選択し、そのための力を欲しました。こうしてキュアセレーネが誕生したのです。
そしておそらく初めてお父様にウソをついたのでしょう。これは彼女にとってとても大きな決断だったのではないでしょうか。そしてこの一つの小さくて大きなウソから彼女の物語が始まったのです。
今回のララとえれな
ララについてはすっかりひかるに気を許して適応できているようですね。ひかるでさえ先輩を呼び捨てにすることをためらったのに、慣習からとはいえ即座に呼び捨てに改め仲間と認めたのはすごいなと思いました(ひかるに影響された?)。
えれなはあっという間にプリキュアであることに慣れていて「さすが太陽」と感じました。初登場からずっと安定感があることから、なかなか「常識的な感覚」を持っているメンバーが少ない中でチームの良心となっていくのではないでしょうか。
なぜ日本政府は宇宙人対策に乗り出したのか?
まどか父の言動から察するに、ララ達が地球に来たこととは直接関わりはないように感じられます。それ以前から「宇宙人騒ぎ」は続発していたのでしょう。そうでなければわざわざ政府が対策機関を設置して局長まで出て調査するとはおもえません。やはりノットレイダーの暗躍が影響しているのでしょうか?今後も目が離せませんね。
属人的な評価よりも・・・
エンターテイナーなどを評価する方法として大きく二つあると思います
一つは〇〇の作品だからだから支持・応援するという方法、もう一つは作者とは関係なしに純粋に作品のみを評価する方法です。
前者はそのエンターテイナーのことをどんどん知り、どんどん好きになる方法。後者は、 自身の純粋な感動をあきらかにすることができる方法といえるでしょう。
それぞれの方法にメリットデメリットがあり、どちらが劣っているという話ではありませんが、私は可能であれば後者であり続けたいと思うのです。
××教の勧誘を受けた話
宗教勧誘にうっかり出てしまい、さらに私がお断りの仕方を間違えてしまい宗教のお話をする羽目になってしまいました。
私は汎神論者なので、その思想に基づいてお話していたのですが、理解してもらえないようでした。まあ、これは仕方がないことです。そうたやすく相互理解が成立するならこんなにたくさん思想も宗教も存在しないでしょうから。
しかし、宗教勧誘上あの捨て台詞はまずいと思いますよ。
「そんな変な思想ハマってないで、もっとおおらかなに生きれば。」
変な奴に出くわしたと思ってついぽろっと出てしまった言葉なのでしょうが、そんなんじゃ信者増えませんよおじさん・・・・・・。
スター☆トゥインクルプリキュア3話感想&考察
行動か分析か
スターカラーペンの探索をめぐる二人の対立、とりあえずの方針が立ったらひとまず行動するか、それとも分析を全て終え確実な方法が見つかるまで待つか。
直感を信じるひかりとデータを重んじるララの性格の違いがよく現れた対立だったと思います。
前回もララはデータを相当重んじていたことから(「データは絶対ルン!」)ララの真面目な性格もありますが、サターン星の教育がデータによる実証を重んじるものなのかもしれませんね。
どちらの方法も合理的なものではありますが、ひかるはいくらでもトライアンドエラーができるのに対しララは地球人に発見されたら一巻の終わりであることを考えればそれぞれが最適な方法をとっていたといえるのではないでしょうか。
コミュニケーション不足と偏見
一見、直感に頼り切っていたように見えるひかるの行動も、実は本人なりの考えがあっての行動でした。 一方、ララはララなりの考えがあったはずです。
にもかかわらず、おたがいに自身の行動原理に則った行動に固執し、相手を間違っていると断じ、積極的にコミュニケーションをとろうとしていません。
最大の問題点はまさにこれに尽きるのです。そしてさらに悪いことにララはひかるに腹を立てるあまり「地球人はよくわからない」と発言してしまいました。
ひかるだけを見て地球人全体を切り捨てる言動は偏見ととられても致しかたないのではないでしょうか。
事実、その後ひかるの怒りは頂点に達して禁断の一言を吐きそうになりました。
コミュニケーション不足から属性についての偏見が生まれ、対立が決定的なものになってしまうということを暗示する見事な脚本だったと思います。
ドーナツ屋さんの反応から見る普段のひかる
普通恥ずかしくて自身の趣味(しかもオカルト)をフルオープンにして町の人に接することなんてできないはずです。
しかし、前回までの遼じいの振る舞いや今回のドーナツ屋さんの言動を考えるとひかるのオカルトオタクぶりは町の人に自然と受け入れられているようです。
なぜ、ひかるはうざがられず、最終的に受け入れられたのでしょうか。行動することを恐れないひかるの性格も大いに影響しているとは思いますが、それだけではないと思います。プリキュアアラモード風に言わせてもらえば、それ以上にひかるの真摯な「スキの気持ち」が町の人の心に通じているからではないでしょうか。
だからこそ、町の人たちはひかるを受け入れ、ひかるの興味のありそうなことを伝えてくれるのだと思います。もっともひかるの行動は危険を伴うものでもありだからこそひかるのおじいさんはひかるに厳しい態度で接しているのではないでしょうか。
ララはなぜ「大人」にこだわるのか
前回からララは自身が「大人」であることにこだわってきました。しかし、大人であるにしては、大人特有の落ち着きや余裕が感じられません。むしろ大人であろうとしてから回っているようにも感じられます。
そもそも本当の大人は「大人」であるとわざわざ主張したりしません。主張せずとも他者から自動的に大人であるとみなされるからです。もっと言えば、自身が大人であると信じて疑わない人は、大人であるとみなされないということを想定できず、当たり前のように大人として振る舞い、自身を大人とみなさない者をこそ「おかしな人物」としてみるでしょう。
おそらく、ララは慣習上大人とみなされる年齢に達しているとしても、サターン星人の発達上まだ青年期(思春期)から抜けきっていないのでしょう。故に思春期特有の対人恐怖(自分をよく見せなければならないという強迫観念)を抱いており、必死に大人として振る舞おうとしているのではないかと考えられます。
呼び捨てで呼び合うということ
プリキュアで呼び捨てで呼び合い始めるということは「ふたりはプリキュア 」の8話以来重要な意味を持ち続けてきました。プリキュアにおいて呼び捨てで呼びあうということは相手の全てを受け入れ仲間として認めるということだからです。
なぎさとほのかの場合は、偶然の事故により双方が互いの弱点を暗に(変身後は公然と)非難しあう関係となったうえで、それでも相手を理解したいという気持ちを分かち合った結果、呼び捨ての関係が成立しました。いわば相手に見せたくなかった本音の部分をぶつけ合うことで真の親友となるプロセスを経たのです。
一方、本作においてはひかるもララも基本的に本音を隠していませんし、そのことを気にもしていません。では今回は何が呼び捨てで呼びあう契機になったといえるのでしょうか。
それは名前をめぐる一連のやりとりを見れば明らかでしょう。
「フルネームで呼ばないで、かたっ苦しい!」
「ちゃん付けやめるルン!私は大人ルン!」
↓
「ごめん!私ララちゃんにひどいこと、勝手なことばっかり...。」
「私の方こそごめんルン。ひかる。」
「ララ......ちゃん?」
「ララでいいルン。その方が、効率的ルン。」
「...うん!ララ!」
つまり二人にとって呼び捨てで呼びあう契機は「妥協」。ただ本音をぶつけ合うのではなく、相手の気持ちを考えて引くべきところは引くこと。いわば大人な振る舞いをすること。
ララがさりげなく「大人だから」という理由を取り下げたことにもこのような二人の変化は現れているのではないでしょうか。
初代の二人がいわば「大人な振る舞い」をしていたところから「子供じみていても本音をぶつける」関係になったことで仲間になったのに対し、今作では少し大人になることで仲間になったというのはなかなか面白い違いではないかと思います。
えれなさんについて
一瞬の登場でまだ詳しいパーソナリティは分かりませんが、ひかるが憧れていること、喧嘩をしていたら仲裁すること、自分の考えを押し付けないこと、花屋を営んでいることから考えてカリスマ性のある大人びた性格なのでしょう。そしておそらく花に対して何らかの特別な思い入れがあるのではないかと推察されます。
次回の登場が楽しみです。
テンジョー氏について
カッパード氏が質実剛健型であることを明示させる対照的なキャラクターでしたね。色気と知性を感じさせる敵キャラでした。戦闘面での知性を前面に出したキャラクターはなかなか希少です。天狗の扇陣形は引き込まれました。
今後も注目です。
まとめ
スタプリにおける「8話」回でした。明確に「8話」をモチーフにしたとわかる回はまほプリ以来ではないでしょうか。しかも初代とは対極の構成の「8話」になっており、見ていてワクワクしました。
あと、青山さんが一人原画をしなくなったのはいいことだと思います。
東京地裁裁判記録破棄
ちまたの判例集なんかに乗っている記録は料理の完成形でしかないわけで、訴状や証拠資料なんかの具材の部分に相当歴史的な価値があるし、後の法曹の育成にも役立つはずなのに。
裁判記録は国民の財産だと考えるべきだと思います。